2022.08.20
ボトックス注射で顎関節症を緩和させる(食いしばり、歯ぎしりによる影響を少なくしてくれます)
今回は
①食いしばり、歯ぎしりによる顎関節への悪影響
②ボトックスによる顎関節の負担を和らげるメカニズム
③ボトックス治療の注意点
の順でボトックス治療に関して解説していきます。
①食いしばり、歯ぎしりによる顎関節への悪影響
食いしばりは日中はあまり自覚していない方でも、夜寝ている間に行っていることが非常に多いです。
寝ている間は脳がこれ以上、歯に力をかけてはいけないというストップ機能が緩くなっていて、想像以上に大きな力がかかっていることが多いです。
このような大きな力がかかると歯の寿命は短くなるだけでなく、耳の手前あたりにある顎の関節にも負担がかかっていきます。
顎の関節には関節円板(下の画像の青い部分)というクッション材のようなものが入っているのですが、強すぎる食いしばりの力がかかると適切な場所からずれてしまって、顎が痛くなったり、動かすと音がなったりすることがよく起きます。さらにひどくなると、頭痛や肩こり、集中力の低下を招きます。
②ボトックスによる顎関節の負担を和らげるメカニズム
下の画像のように噛む力を主に司っているのは咬筋という筋肉になります
普段から上下の歯が触れ合う癖がついている方は常にこの咬筋を鍛えている状態になっているので特に要注意です。
ここの筋肉にボツリヌス菌から得られた成分を注射することで、筋肉が弛緩し、適正なところまで筋力を引き下げてくれます。
これによって、夜間の食いしばる力も軽減され、顎関節への負担も和らげられるのです。
③ボトックス治療の注意点
- 個人差はありますが、食いしばろうとする癖は変わらず継続するので、6ヶ月程度でまた咬筋の力は鍛えられて復活してきます。ですので、効果を継続させるには6ヶ月毎にボトックス注射をする必要が出てきます
- 針を刺した部位は内出血し青タンのようになることもありますが、自然と消失します
- 妊娠中、授乳中は注射できません。
- 術後は女性で2ヶ月、男性で3ヶ月は避妊するようにする必要があります
- 術後1週間は顎は重だるいような感覚がありますが、徐々に消えていきます