コンセプトと院長・スタッフ紹介｜熊取駅すぐの歯医者「まつもと歯科・小児矯正歯科」

歯科の道を志したきっかけ

私は幼少期、母から口酸っぱく「虫歯になる前から歯医者さんに行きなさい」と言われていました。虫歯があって治療されていたというわけではなく、行っても基本的には歯石を取ってもらうばかり。
昔の歯医者さんは「先生が怖い」「説明なくいきなり治療される」というネガティブな印象でしたが、私が通う歯医者さんは先生も従業員の方も優しく、歯医者さん独特の雰囲気や音、匂いが好きでした。
そんな記憶もあり、大学受験では大阪大学の歯学部を受験しました。

苦労の連続の大学時代

大学に通っていた頃、友人の多くは親がお金持ちでしたが、私の実家は裕福ではなかった為、両親からの仕送りも殆どありませんでした。
和歌山から大阪大学へ通うにはあまりにも遠かったので下宿をしていましたが、夢の一人暮らしとはかけ離れた毎日。
学生寮に6年間住み、奨学金を借り、アルバイトを掛け持ちし、まさに苦学生のような生活をしていました。

大学を卒業しても歯科医師国家試験自体の合格率が60%程度でしたので、合格出来ずに諦めた仲間もいました。
留年すると奨学金を貸してもらえなくなる可能性や、寮も６年ぴったりで退寮しないといけないという決まりがあり、学生時代は一生懸命勉強に励み、現役６年で無事卒業できました。
大阪大学卒業後、臨床研修を1年経験しました。

たくさんの経験を積ませて頂いた勤務医時代

その後は、茨木市内と吹田市内の歯科医院、豊中市の矯正専門の歯科医院で経験を積ませて頂きました。
最初は「自分は歯医者に向いていないのかな？」と思っていました。歯を削っても、型どりをしても先輩から「違う！ダメダメだ！」と言われ続け凹んでばかりだったからです。患者さんの目の前で叱られたり、その場で先輩にやり直されることも多かったです。
ある患者さんの仮歯を先輩に任された時ですが「よし！これで綺麗な前歯が作れた！」と自分では思い、患者さんに鏡を渡して歯を見て頂くと「まだ少し歯の傾き気になります…もう時間がないので出来るだけ早く綺麗な形に治してくれませんか？」と言われてしまい、急いで先輩に手直しをしてもらいました。
またある時は、私が治療した歯の噛み合わせが合わず、再度来て頂いてやり直させて頂く事もありました。
幼い頃に抱いた歯医者さんのイメージと実際の現場はあまりにも違いました。
「歯医者ってこんなに難しい世界なんだ…」と大きく挫折したのを今でも鮮明に覚えています。

勉強会や居残り練習で治療技術を磨く日々

「歯医者の仕事は向いてないのかな？」と思いながら「とにかく一人前になりたい」「諦めたくない」「負けたくない」という気持ちも強く持っていました。
それからは診療後、医院の鍵をお借りして居残りで毎日ひたすら練習しました。
休みの日は勉強会に必ず参加し、歯科技術に関する書籍をひたすら読み続けて勉強しました。
歯科の専門書は非常に高価で、勉強会も含めると生活費が全て無くなる位の費用でした。
しかし、自分の技術をどうしても高めたかったので「必要なお金」と割り切りました。

ただ、矯正治療に関しては勉強会に参加してどれだけ学んでも本を読んでも習得する事ができませんでした。
高額の勉強会に参加して「よし！これでできるだろう！」と思って、実際患者さんの口の中の状態を見ると固まってしまうのです。
理論上では理解できても、勉強会で習った通りの歯並びをしてる患者さんは殆どいなかったからです。

矯正治療に関しては、机に座って勉強してもできるようにはならないので、休みの日を削って矯正治療専門の医院で修行をさせて頂く事にしました。
そこでも「違う」「ダメダメ」と沢山指摘されましたが、習得できるまで通い続けました。
その頃からは殆ど休みなく、ひたすら歯と向き合う大変な日々でした。

少しづつ見えてきた努力の成果

しかし、同時に努力の成果が出始め、出来る治療が増えてきました。
ある患者さんに仮歯をセットした時「え！？これセラミックじゃないんですか？」「これでもう治療終わりじゃないんですか！？」と言われた事もありました。
また、もともと歯科恐怖症だった患者さんに麻酔した際は「全く痛みを感じなかったです」「今までどうしても歯医者が怖かったけど、これだったら頑張れそう！」と涙ぐんで言って頂けることもありました。

お子様の治療ではお母様から「今までどの歯医者でも泣いてしまって治療出来なくて…何件も回ってきて大学病院まで行ってそれでもダメで諦めかけてたんです…本当にありがとうございます！」と感謝の言葉を頂く事もありました。私の治療で笑顔になってくれる患者さんの姿を見ると「数年前に大きな挫折を経験したけど、必死になって歯と向き合ってきた甲斐があった。」と心から嬉しく思います。