CASE

歯並びをなおしたい【10代男性】

出っ歯と歯のガタつきを改善したいという10歳の男の子の症例をご紹介します。精密検査の結果、犬歯が並ぶためのスペースが大きく不足しており、このまま無理に歯を並べると前歯がさらに前方へ突出してしまう可能性がありました。そのため、歯並びだけでなく口元や噛み合わせまで考慮した結果、上顎の小臼歯を抜歯してスペースを確保する必要がありました。また、かみ合わせの要となる第一大臼歯の位置が前後左右的に大きくズレており、複雑な歯の動きが求められました。治療方法はマウスピース矯正も検討しましたが、ご本人の生活スタイル上の希望や複雑な歯の移動が必要であったことから、より確実にコントロールできるワイヤー矯正を選択しました。

症例画像
正面の術前術後のお写真
上顎の術前術後のお写真
下顎の術前術後のお写真
左側面の術前術後のお写真
右側面の術前術後のお写真
治療詳細
主訴歯並びをきれいにしたい
治療期間3年
使用した装置ワイヤー矯正
費用85万円
治療経過治療はワイヤー矯正に加え、インプラントアンカーを併用して進めました。インプラントアンカーは歯を動かす際の「動かない支柱」となる装置で、本来動かしたい歯だけを効率よく移動させ周囲の歯への不要な影響を最小限に抑えることができます。今回は前歯はこれ以上前に出ないようにしつつ、奥歯を後方に動かす必要がありました。また顎間ゴムをしっかり使用していただくことで、上下の歯の中心をぴったり合わせ、歯の平面の傾きを整えながら、奥歯までしっかりかめる安定したかみ合わせへ改善することができました。飛びだしていた犬歯は抜歯で確保したスペースへ計画通りに誘導し、治療開始から約3年後に装置を外しました。現在はリテーナーによる保定期間へ移行し、整えた歯並びと噛み合わせの維持を行っています。
治療で気を付けた点今回の治療で最も難しかったのは、左側の奥歯のかみ合わせです。左側は上下の奥歯の前後的なズレ(Ⅱ級関係)に加え、上の歯が内(舌)側、下の歯が外(頬)側で噛んでしまう「交叉咬合」も認められました。この状態では、単純に上の歯を後ろへ下げるだけでは交叉咬合がさらに悪化し、かみにくい状態になってしまいます。そこで、インプラントアンカーを固定源として利用しながら、上顎の奥歯は後方へ移動させると同時に頬側(外側)へ広げるようにコントロールしました。一方で下顎の奥歯は舌側(内側)へ移動させ、上下の歯が正しく噛み合う位置へ細かく調整しています。このように前後・左右・内外方向を同時にコントロールする三次元的な歯の移動によって、見た目だけでなく左右均等にしっかり噛める機能的なかみ合わせを実現しました。
治療の注意点・リスクワイヤー矯正は装置のまわりに食べかすなど汚れがたまりやすくなりため、普段以上に丁寧な歯磨きが必要です。磨き残しが続くと、むし歯や歯肉炎の原因となるだけでなく、治療期間が伸びてしまうこともあります。また、硬い食べ物や粘着性の強い食べ物は装置が外れたり変形する原因となるため、注意しましょう。
このような症例では、歯を動かすだけでは理想的なかみ合わせは得られません。特に奥歯の位置を前後だけでなく横方向にも細かく調整する必要があり、精密な歯の移動を実現するために確実な固定源となるインプラントアンカーが重要な役割を果たします。アンカー周囲も丁寧に清掃し、定期的に状態を確認しながら安全に治療を進める必要があります。
また、治療後は歯並びだけでなくかみ合わせも元に戻ろうとする「後戻り」が起こる可能性があります。特に抜歯を行い歯を大きく動かした症例では、リテーナーの装着時間が不足すると後戻りが起きやすいため、保定期間も治療の一部として継続することが大切です。定期的な経過観察を行いながら、長期的に安定したかみ合わせを維持していきます。

監修者情報
院長 松本光平
院長 松本光平
  • 2017年 大阪大学歯学部卒業
  • 2017-2019年 茨木市内歯科医院勤務
  • 2019-2022年 吹田市内歯科医院勤務
  • 2020-2021年 豊中市内矯正専門医院勤務

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