出っ歯と歯のがたつきを治したい【10代女性】
患者様は10代女性で、「出っ歯と歯並びのがたつきが気になる」とのことで来院されました。
本症例の大きな特徴は、強い叢生(歯のガタガタ)だけでなく、上下の前歯の前後的な距離であるオーバージェットが大きく、上顎前突(出っ歯)である点です。叢生が強い場合、歯を並べるスペースを作るために上下顎の小臼歯を抜歯して歯を並べる方法も考えられます。しかし、本症例では下顎も抜歯すると、口元が後退しすぎて顔立ちのバランスに影響する可能性がありました。そこで当院では、上顎のみ小臼歯を抜歯し、下顎はIPR(歯と歯の間をわずかに削合してスペースを作る処置)を行う治療計画を立案しました。さらに、歯科矯正用アンカースクリューやオープンコイルを併用し、口元のバランスに配慮しながら、叢生とオーバージェット、上下の噛み合わせを改善する方針でワイヤー矯正を行いました。歯並びだけでなく、口元や横顔のバランスにも配慮し、見た目と機能の両方を改善した症例です。
症例画像





治療詳細
| 主訴 | 出っ歯と歯並びがガタガタが気になる |
| 治療期間 | 2年5ヶ月 |
| 使用した装置 | ワイヤー矯正 |
| 費用 | 93万円 |
| 治療経過 | 上顎の小臼歯を抜歯した後、上下の歯にマルチブラケット装置を装着し、上顎には固定源として歯科矯正用アンカースクリューを埋入しました。下顎はIPRによって歯を並べるためのスペースを確保し、必要な部位にはオープンコイルを使用しながら、叢生の改善を進めました。 歯の移動に合わせて、柔軟性のあるNiTi(ニッケルチタン)ワイヤーから、より太く安定性の高いワイヤーへ段階的に交換しました。その後、ループの活性化によるスペースの閉鎖と、患者さまにご協力いただいた顎間ゴムを組み合わせ、前歯の前後的なバランスと噛み合わせを調整しました。最終的に装置を撤去し、整えた歯並びを安定させるための保定期間へ移行しています。 |
| 治療で気を付けた点 | 本症例では特に2つの点に気を付けて行いました。 ①下の歯を抜かずに骨内に収める 本症例では、下の歯並びもかなり混みあっていましたので抜歯することも検討していました。しかし、奥歯のかみ合わせが完全に小臼歯一本分ずれてしまっていたこと、歯がもともと大きいため歯の側面を削る処置がある程度できることなどを考慮し下の歯は抜かずに配列しました。 ②ワイヤー矯正中の虫歯・歯周病予防 固定式のワイヤー矯正装置は、ブラケットやワイヤーの周囲に歯垢がたまりやすく、虫歯や歯肉炎のリスクが高くなります。そのため、通院ごとに口腔内の状態を確認し、必要に応じて歯石除去、PMTC、フッ素塗布を行いました。さらに、ご自宅で適切に清掃できるようブラッシング指導を続けました。矯正治療中も歯と歯ぐきの健康を維持できるよう、歯の移動だけでなく、継続的な口腔衛生管理にも取り組みながら治療を進めました。 |
| 治療の注意点・リスク | ワイヤー矯正は装置のまわりに食べかすなど汚れがたまりやすくなりため、普段以上に丁寧な歯磨きが必要です。磨き残しが続くと、むし歯や歯肉炎の原因となるだけでなく、治療期間が伸びてしまうこともあります。また、硬い食べ物や粘着性の強い食べ物は装置が外れたり変形する原因となるため、注意しましょう。 インプラントアンカー周囲も丁寧に清掃し、定期的に状態を確認しながら安全に治療を進める必要があります。 また、治療後は歯並びだけでなくかみ合わせも元に戻ろうとする「後戻り」が起こる可能性があります。特に抜歯を行い歯を大きく動かした症例では、リテーナーの装着時間が不足すると後戻りが起きやすいため、保定期間も治療の一部として継続することが大切です。定期的な経過観察を行いながら、長期的に安定したかみ合わせを維持していきます。 |
監修者情報
院長 松本光平
- 2017年 大阪大学歯学部卒業
- 2017-2019年 茨木市内歯科医院勤務
- 2019-2022年 吹田市内歯科医院勤務
- 2020-2021年 豊中市内矯正専門医院勤務

